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私たちの技術

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石英ルツボの高強度化

シリコン単結晶の引き上げ中に、石英ルツボ(シリカガラスルツボ)が変形すると、シリコン単結晶に接触し、引き上げが中止になる場合があります。

図:石英ルツボの変形(例:坩堝の壁部の内倒れ)

石英ルツボの変形は、①石英ガラスの粘度、②石英ルツボの表面状態により変化します。

①シリカガラスの粘度測定

Beam-Bending Method

原料の石英粉を融かしたガラス体(ルツボ)から、四角柱のサンプルを切り出します。
切り出したサンプルを下図のような装置にセットします。装置内部には、カーボンヒーターが備え付けられており、
サンプルを加熱することができます。目的温度に到達後、サンプルの中間に負荷をかけ、中間のたわみ速度を測定します。
その測定結果と加熱前に測定した下記項目から、ガラスの粘度を計算します。

図:ガラスの粘度測定法略図
(Beam-Bending Method)

図:シリカガラスの粘度(自社測定データ)

合成シリカガラスは、天然シリカガラスよりも不純物が少ない(※1)というメリットがありますが、
上図のように粘度が低いというデメリットも存在します。石英ルツボは一般的に2層構造になっており、
シリコン融液と接する内面側には純度の高い合成シリカガラスを、外面側には石英ルツボの変形抑制を目的に粘度が高い
天然シリカガラスを配置した構造になっています。

※1 一般的に不純物が少ないと、石英ルツボを用いて引き上げるシリコン単結晶の歩留まりおよび品質は向上します。

図:石英ルツボの断面構造

②石英ルツボの表面状態

シリコン単結晶の引き上げにおいて、石英ルツボは約1,500℃の高温に晒されます。
加熱前の石英ルツボの表面状態はシリカガラスですが、この温度域に長時間晒されると、石英ルツボの表面(シリカガラス)は
安定な構造であるβ-クリストバライト(結晶化)へ変化します。石英ルツボの表面が結晶化すると、
石英ルツボの機械的な強度は向上し、石英ルツボの変形を抑制することができます。

下の写真は、表面がシリカガラスのサンプルと表面が結晶化したサンプルの中間たわみ速度を比較した結果で、
結晶層が変形速度を大きく低下させています。中間たわみ速度は結晶層が厚いほど低速化し、
結晶層が130 μm以上あれば、実質的に問題ない速度まで低下します。

左写真(a):目的温度到達後にサンプル中間に負荷をかけたサンプル(表面:シリカガラス)

右写真(b):サンプルが変形しない温度で保持し、サンプル外面が結晶化した後にサンプル中間に負荷をかけたサンプル(表面:結晶)

図:Beam-Bending Methodでサンプル中間に負荷をかけた場合の変形(温度:1,500℃)

(a) 表面:シリカガラス

(b) 表面:結晶層

図:結晶層の厚みと中間たわみ速度の関係

シリカガラスの結晶化は、シリカガラスの不純物濃度、OH基濃度、表面の凹凸状態により変化します。
温度的に過酷な条件の引き上げには、石英ルツボ外面の結晶化がより促進される状態の石英ルツボが使用されます。